近年、口腔の健康が脳の健康と深く関連していることが明らかになってきました。特に、歯肉の健康とアルツハイマー病との間には密接な関係があるとされ、多くの研究者たちがこの問題を注視しています。
これまでの研究では、口腔の健康が心臓病や糖尿病、関節リウマチなどと関連していることが報告されてきました。しかし、新たな研究結果によれば、口腔内のバクテリアや炎症がアルツハイマー病のリスクを増加させる可能性があることが指摘されています。
ワシントン・ポストの記事によれば、「科学者たちは歯肉炎からアルツハイマー病へとつながる犯人を特定した」と報じられており、その犯人とは「歯肉のバクテリアと炎症」だとのことです。このことからも、口腔の健康と脳の健康がどれほど密接に関連しているかがうかがえます。
過去の研究を振り返ると、75歳以上の高齢の修道女144人を対象とした研究では、歯の喪失が多い修道女は認知症のリスクが高まることが明らかにされています。さらに、軽度から中等度の認知症患者60人を対象とした別の研究では、歯周病が認知機能低下のリスクを6倍以上に増加させるとの結果が得られています。
さらに、2019年の研究で、歯肉炎の主要な病原体であるバクテリアのDNAがアルツハイマー病患者の脳で確認されました。これは、歯肉炎が身体の他の部位に拡大し、脳に慢性的な炎症を引き起こす可能性があることを示唆しています。また、バクテリアが生成する毒性酵素がアルツハイマー病の主要な発病原因と関連していることも明らかにされています。
このような研究結果から、口腔の健康管理の重要性が改めて強調されるべきだと感じます。歯肉炎や歯周病を予防し、日頃から正しいオーラルケアを行うことが、アルツハイマー病のリスクを低減する手段として考えられるかもしれません。
