デジタルトランスフォーメーション（DX）は、現代の企業において避けられないトピックとなっています。その中心には、企業のデジタルリテラシーの向上と、DXに適合した人材の育成が必要不可欠とされています。
経済産業省と情報処理推進機構（IPA）は「デジタルスキル標準」（DSS）を発表し、企業がDXの推進に必要な人材像やスキル要件を明確にする手助けをしています。DSSは、DXに関する全てのビジネスパーソンが持つべきスキルの標準を示しています。
しかし、DSSの存在だけでは十分ではありません。企業がDXを成功させるためには、その背後にある目的と目標を理解し、適切な人材育成や研修プログラムの策定が必要です。研修だけを増やしても、その内容がDXの目的や要件に合致していなければ、効果的な結果を期待することは難しいでしょう。
DSSは、「DXリテラシー標準」（DSS-L）と「DX推進スキル標準」（DSS-P）の2つの部分で構成されています。DSS-Lは、DXに関する基本的なリテラシーを身につけることを目指しており、従業員一人一人がDXを自分のこととして捉え、変革に向けて行動するための基盤を提供します。一方、DSS-Pは、DXを推進する専門的なスキルを示しています。
DSS-Lは4つの要素で構成されており、それは「DXの背景（Why）」「DXで活用されるデータ・技術（What）」「データ・技術の利用／活用（How）」そして「新たな価値を生み出す基礎としてのマインドスタンス」です。これらの要素を踏まえることで、企業はDXの推進に必要なスキルを網羅的に身につけることが可能となります。
研修プログラムの策定に際しては、DSS-Lを参考にしながら、特に「マインドスタンス」と「Why」の部分に重点を置くことが重要です。DXの推進には、技術やデータの利用だけでなく、変革の背景や意義を理解し、それを共有することが不可欠です。
最後に、DXの成功のためには、企業が持つビジョンや目的を明確にし、それに合わせた人材育成の取り組みを進めることが求められます。DSSはそのための有効なツールであり、その活用方法次第で企業の未来が大きく変わることでしょう。私もこの動きを楽しみにしています。
